【猫のコロナウイルス】伝染性腹膜炎の症状や治療、予防法について

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この記事では猫伝染性腹膜炎(通称:FIP)の原因や症状、検査法や治療法、予防法について解説しています。

猫伝染性腹膜炎(FIP)とは

原因は猫コロナウイルスの突然変異

猫の伝染性腹膜炎(以下FIP)は、猫コロナウイルスが猫の体内で突然変異し、FIPウイルスになることで発症する病気です。

猫コロナウィルスは、通常はとても弱いウイルスであり、感染しても何の症状も出ないか軽度の腸炎を起こす程度です。ちなみに飼育猫の25~40%で、過去にコロナウイルスに感染したことがあると言われるほど、コロナウイルス自体は広く存在しています。

そしてこのコロナウイルスは、稀に猫の体内でFIPウイルスに変異します。変異したウイルスは、宿主である猫に腹膜炎などの激烈な症状を引き起こします。

弱毒性のコロナウイルスがFIPウイルスへと変異する原因は現状まだ解明されていませんが、ストレス免疫力の低下が変異の原因となっている可能性が指摘されています。

猫コロナウイルスのFIPウイルスへの変異は若い猫(1~3歳)で多くみられ、FIPウイルスへ変異した場合は、ほとんど全ての場合(約99%)で亡くなってしまうと言われています。しかし、2019年になってFIPの治療薬がアメリカの製薬会社より発売されたため、今後FIPは不治の病ではなくなるかもしれません。

猫伝染性腹膜炎(FIP)の症状

猫コロナウイルスの変異によってFIPを発症した場合、まず発熱、元気消失、食欲不振、体重減少などの症状が見られます。

そして、猫のFIPには「ドライタイプ」「ウェットタイプ」の二つのタイプがあり、上記の一般的な症状に加えて、それぞれのタイプで異なる症状が現れることがFIPの特徴です。

①ドライタイプ

ドライタイプでは、体内の臓器に肉芽腫と呼ばれる病変が形成されるのが特徴です。

症状は肉芽腫が形成される場所によって異なり、例えば脳に肉芽腫ができると神経症状(ふらつく、ぐるぐる回るなど)が、目にできると眼症状(眼の濁り、眼圧があがるなど)などの症状が出ます。

*参考動画:FIPのドライタイプにより神経症状が出てしまった猫。この場合は脳に肉芽腫が形成されたと思われる。

②ウェットタイプ

ウェットタイプでは、猫の腹や胸に水が溜まる(それぞれ腹水胸水と言います)のが特徴です。

胸水が溜まる場合は、呼吸困難や呼吸数の増加が見られ、腹水が溜まる場合は、腹部の膨満感(水が入っているたぷたぷ感)が見られます。

*FIPのウェットタイプにより腹水がたまった猫。赤矢印部分に腹水が溜まっている。

また、重度になると心臓部に水が溜まる場合もあり、その場合は心拍数の増加、加えて呼吸数の増加や呼吸困難も見られます。

猫伝染性腹膜炎(FIP)の検査について

FIPの検査は複数の方法がある

猫のFIPの検査は簡単ではありません。FIPの診断を下すためには、状況に合わせて複数の検査を行う必要があります。

FIPの疑いがある場合、獣医師はまず、猫の年齢や飼育環境、症状などを確認していきます。

ウェットタイプのFIPである場合は、胸水や腹水が溜まるなどの特徴的な症状が見られるため、胸水・腹水の採取を行い、遺伝子学的検査を行うことで診断を行います。

ドライタイプのFIPでは、症状や血液検査の結果からFIPであることの予測を行い、必要に応じて追加の検査を行なっていきます。

このようにタイプごとに検査を行い、多数の項目がFIPの特徴に一致した場合にFIPである可能性が高いと獣医師は判断します。

猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療について

治療法は確立されていない

残念ながら現在のところFIPを完治させる治療法は確立されていません。つまり、FIPを治す方法が無いのです。そのため、治療は基本的に症状緩和による延命が目的になります。

FIPが完治したという話は本当か?

たまに診察時に「インターネットでFIPが治療によって完治したと書いてあるのを見ました!」と言う飼い主さんが、時々いらっしゃいます。ですが、そのネットの記事は例え事実であったとしても「元からFIPで無かった可能性が高い」です。

前述したように、FIPの診断は非常に難しく、FIPだと確定診断するまでに多くの検査が必要です。FIPの疑いがある場合には例えFIPである可能性が低くても、獣医師がFIPだと診断せざるを得ない場合もあるからです。

そのような場合、初めから違う疾患であり治療によって完治し、FIPが完治したということになったのでしょう。勿論、例えFIPであったとしても治る可能性が0である訳ではありませんが、現状の獣医療では完治の可能性は非常に低いのです。

2019年に猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療薬「MUTIAN X」が開発される

これまで治療薬が存在しなかったFIPですが、2019年2月にカリフォルニア大学よりFIPの新薬に関する論文が発表されました (この論文では、GS-441524というヌクレオシド類似体がFIPウイルスに有効という内容)。

その研究成果をもとにして、MUTIANという医薬品会社が「MUTIAN X」という名でFIPの治療薬を販売しました。

しかしながら、現状では日本国内未承認薬になりますので、国内では手に入りません。処方する為には、各動物病院での個人輸入によることになります。

そのような現状ですので、国内でMUTIAN Xを処方してもらえる動物病院はまだまだ少ないですが、この先どんどん増えてくると思われます。

猫伝染性腹膜炎(FIP)の予防法

ストレスをかけない・免疫力を落とさない

FIPウイルスは猫コロナウイルスの変異が原因のため、そもそも元凶となる猫コロナウィルスに感染しないことがFIPを予防する唯一完全な方法ですが、現実は繁殖ブリーダーや猫シェルターなど、そこら中に猫コロナウイルスは蔓延しています。ゆえに、家に迎え入れた時、既に感染している場合が多くあります。

そのためFIPの予防のためには、体内の猫コロナウイルスをFIPウイルスに変異させないために、ストレスが少ない環境で飼育すること、他の病気にかかって免疫力を落とさないこと、混合ワクチンの接種、多頭飼育を避けること、が重要になります。

猫伝染性腹膜炎(FIP)にワクチンはあるのか?

現在、猫のFIPに対するワクチンは国外では開発されています。しかし、ワクチンの効果が実証されておらず、日本ではまだ認可されていません。

米国においても、FIPワクチンが使用されるのは限られた条件下のみであり、FIPワクチンはまだまだ研究段階だと言えます。

新型コロナウイルス(COVIT-19)は猫に感染するのか?

2020年に入り世界的に流行が拡大しているヒト新型コロナウイルス(COVIT-19)ですが、ヒト新型コロナウイルスが猫に感染する事はありません。

コロナウイルスは種特異性が高く、ヒトコロナウイルスは人間のみ、猫のコロナウイルスは猫にのみ感染します。当然、猫のコロナウイルスが人間に感染することもありません。

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