猫汎白血球減少症



猫汎白血球減少症とは

猫汎白血球減少症(ねこはんはっけっきゅうげんしょうしょう)とは、パルボウイルスの一種である猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)によって引き起こされる感染症です。

このウイルスが引き起こす猫汎白血球減少症は、別名「猫ジステンパー」や「猫伝染性腸炎」とも呼ばれ、致死率と伝染性が高く消毒・清浄化が困難なことで知られています。そのためコアワクチンである3種混合ワクチンに含まれています

猫汎白血球減少症の症状

猫汎白血球減少症ウイルスに感染した場合、数日〜2週間前後の潜伏期間の後、嘔吐・下痢・食欲不振などの症状が出ます。

子猫(2~6ヶ月齢)では重症化する場合が多く、重症化した場合は以下の二つのタイプの症状が出ます。*1歳を超えた成猫においては無症状~軽症例が多い

心筋型の症状

血流によって全身に行き渡ったウイルスが心筋細胞に取り付いた場合、そこでウイルスは爆発的に増殖して心筋細胞を破壊します。心筋細胞が破壊されれば心筋炎を起こして心不全により突然死する場合が多いです

腸炎型の症状

ウイルスが腸管内に取り付いた場合は、腸陰窩細胞(腸の表面にある細胞)が破壊されます。そのため腸内の正常な粘膜形成ができず、下痢・水様性粘血便(トマトジュースのようなさらさらな赤色便)などの症状がみられます。

また骨髄細胞の破壊によって白血球数が激減した場合、腸内細菌の日和見感染(通常は無害であるような弱いウイルスや細菌による感染)が起こり、敗血症(細菌によって引き起こされた全身に及ぶ免疫・炎症反応)に至ります。

またDIC(本来、出血箇所でのみ生じるべき血液凝固反応が、全身の血管内で無秩序に起こること)が引き起こされ、全身の臓器不全が起こり死に至る場合も多くあります

猫汎白血球減少症の感染原因

経口感染

猫汎白血球減少症ウイルスに感染している猫との直接的な接触により、糞便や嘔吐物を口や鼻から摂取することでウイルスに感染します。

また、猫汎白血球減少症ウイルスは外界でも(猫体外にでた状態)半年~1年以上も生存するため、猫同士の直接的な接触が無くても、例えば道路などに放置された感染猫の糞便などから間接的にウイルスに感染する危険性もあります。

不特定多数の猫が集まる公園や繁殖施設、また動物病院に感染力を保持したままウイルスが存在した場合、人間の衣服に付着したり、動物病院内で感染する場合も否定できません(院内汚染と言います)。そのため屋内飼育で他の猫との接触がないからといって100%感染する可能性を除去することはできません。

母から子への垂直感染

妊娠中の母犬がウイルスに感染した場合、胎盤を経由して胎児にも感染し死産・流産を引き起こします。また仮に子猫が生き残ったとしても、小脳に障害が残る可能性が高いです

猫汎白血球減少症の治療法

対症療法が基本

猫汎白血球減少症の治療には、現在のところウイルスを直接倒すような薬がありません。そのため対症療法が基本になります。

猫自身の免疫力を維持するために、ネコインターフェロンの投与、また嘔吐や下痢により失われた体内の水分や電解質(ナトリウムや塩素などのイオン成分)を補給するための点滴治療や、腸内細菌による二次感染を抑制するための抗生物質投与などが行われます

猫汎白血球減少症の予防法

一番予防のために大事なのはワクチン接種

猫汎白血球減少症は3種混合ワクチンで予防することが可能です。なお、パルボウイルスに対する免疫は一度獲得するとほぼ一生涯にわたって継続すると言われていますが、万全を期すため1年おきに追加のワクチン接種が推奨されています

予防のための飼い主の注意点

猫汎白血球減少症ウイルスは感染力が非常に強いため、感染している猫と接触する機会を作らないように完全室内飼いにするということが予防には重要です。

また多頭飼育をしている場合は、一匹が感染するとすべての猫に感染する可能性もあるため、それぞれの猫でワクチン接種をしておくことが大切です。

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書いた人

著者:サワキ ショウタロウ



動物病院勤務の獣医師(8年目)。神奈川県横浜市出身。飼い主さんがネットに氾濫する誤った情報に騙されない為にサイトを設立。獣医師による正しい知識を提供してます。多忙な毎日ですが、暇を見つけてTwitterやサイトを更新。フォロー・ブックマークしていただけると嬉しいです。

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