この記事では猫ヘルペスウイルス感染症(別名:猫ウイルス性鼻気管炎)の感染原因や症状、治療法や予防法について解説しています。
Contents
猫ヘルペスウイルス感染症とは
猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻気管炎)は、猫ヘルペスウイルス(FHV)に感染することで発症する猫の呼吸器系の感染症です。
このウイルスは猫風邪の原因ウイルスの一つでもあり、くしゃみ・鼻水・結膜炎などの症状が見られることが特徴です。
*猫風邪について詳しくは以下で解説しています
猫ヘルペスウイルス感染症の症状
猫ヘルペスウイルスに感染し発症した猫では、主に鼻水・くしゃみ・涙を始め発熱・食欲低下がみられます。また結膜炎が見られる猫もいます。
特に、子猫や老猫では重症化して急激な衰弱や脱水症状に陥ることもあります。
猫ヘルペスウイルス感染症の原因
①感染している猫との接触
猫ヘルペスウイルス感染症は感染している猫のくしゃみにより飛び散った唾液、感染猫とのグルーミング、感染猫との食器の共有など感染猫の唾液や鼻水などに触れることで感染します。
また野良猫などの感染猫に触れた飼い主が、帰宅後に愛猫に触れることでも感染する場合があるため注意が必要です。
注意点:症状が出ていなくても感染源となる場合も
症状が出ていない猫であっても、過去に感染歴のある猫は三叉神経の中にウイルスが潜んでいることがあります。
②免疫力の低下によっても発症
猫ヘルペスウイルスに一度感染した猫は、症状が収まった(治った)場合でも80%以上の確率でウイルスを体内(三叉神経節)に保有しています。
神経節に潜伏しているウイルスは宿主の免疫力が低下してくると神経を下降し、扁桃腺などに移って再び増殖し再度発症してしまいます。
*免疫力の低下を引き起こす要因は、老齢、免疫抑制剤などの薬剤の投与、ストレス、他の感染症にかかることなどが挙げられます。
猫ヘルペスウイルス感染症の治療法
①薬による対症療法が基本
猫ウイルス性鼻気管炎の治療では症状(くしゃみや鼻水、脱水など)に対する対症療法が治療の基本となります。そして、二次感染を予防するために抗生物質を投与し猫の自然治癒を待ちます。
通常は早ければ数日、遅くても2週間以内に回復することが多いです。
また、免疫力の維持向上のために十分な栄養補給と温度管理にも気をつけることが大切です。
②猫インターフェロン
抗ウイルス薬である猫インターフェロンは、猫ウイルス性鼻気管炎の原因となる猫ヘルペスウイルスの増殖を抑制する効果があります。
重症化してしまった場合などは、上記の対症療法と猫インターフェロンを組み合わせることで、より高い治療効果を発揮することができます。
猫ヘルペスウイルス感染症の予防法
①ワクチン接種
猫ウイルス性鼻気管炎の1番の予防方法はワクチン接種を受けることです。
また、ワクチンにより事前に猫ヘルペスウイルスに対する抗体を体内に作っておくことで、万が一猫ヘルペスウイルスに感染した場合でも重症化するのを予防してくれます。
*猫のワクチンに関しては、以下の記事で解説しています。
②飼育環境の改善や隔離
猫ヘルペスウイルスの蔓延は、繁殖施設や多頭飼育などにより複数の猫たちが一箇所に密集しているような環境で起こります。
飼育頭数が多い環境で、猫ウイルス性鼻気管炎の症状が認められる猫がいる場合、他の猫に感染するのを防ぐためにただちに隔離する必要性があります。
隔離し、まずは他の猫に猫ヘルペスウイルスが感染しないように予防することが、蔓延を防ぐ上で最も重要なことになります。
まとめ
猫ヘルペスウイルス感染症に関してこれで以上になります。
猫ヘルペスウイルスは一度感染してしまうと高確率で体内に潜伏するようになり、根治することが困難になってしまいます。
そのため、何よりも予防が大切になります。
愛猫がヘルペスウイルスに感染しないためにも、まずは定期的なワクチン接種をすることをおすすめします。