触ると猫が喜ぶ場所
猫が喜ぶ触り方を知るためには、猫が触ると喜ぶ場所と触ると嫌がる場所の両方を飼い主さんが知ることがなによりも重要です。
猫の顔、頭、首元、うなじ
顔や頭、首元、うなじを飼い主さんに優しくなでられることが好きな猫は多いです。
猫は自分では、それらの場所をグルーミング(舐める)できません。そのため飼い主さんになでられたり、指でカキカキされることを「グルーミングしてくれてる」と思うのです。
複数の動物がお互いにグルーミングし合うことを「アログルーミング」と言いますが、猫同士の間で行うアログルーミングでは、自分では舐めにくい首や顔を頻繁に舐め合う姿が観察されます。猫は互いにどこを舐められると嬉しいかよく知っているのです。
猫の背中と尻尾の付け根
猫の背中に関しては触られるのを好む猫と、嫌がる猫の両方がいます。
好む猫の場合は背骨に沿ってちょっと強めにカキカキされるのを好む猫が多いです。また尻尾の付け根をトントンと叩いたり、カキカキしてあげると尻尾をピンと立てて恍惚とした表情を浮かべる猫もいます。
尻尾の付け根には神経が多く存在し、刺激されることで快感を得ていると思われます。
触ると猫が嫌がる場所
手足、腹部
猫は手足や腹部を触られることをあまり好みません。
手足を触られることを嫌がる理由は、手足を握られたりした場合、猫はすぐに逃げられなくなるため本能的に嫌うからです。また腹部は骨格で覆われていないため、体の中でも最も弱い部分であり、多くの猫は腹部を触られるのを本能的に嫌がります。
抱きしめられるのも好きではない
猫は本来、飼い主さんに抱きしめられることが好きではありません。その理由は、抱き締められることで逃げ出すことができないという状況なり、本能的に恐怖心を抱いてしまうためです。
飼い主さんに心を許している猫の場合は「飼い主さんだから許してあげる」くらいの気持ちで我慢してくれている猫がほとんどです。そのためいつまでも猫をだっこすることは猫のストレスに繋がりますので、ほどほどにしておきましょう。
猫が喜ぶ触り方
優しくなでるように猫に触る
猫は激しく(荒く)、強く触られることを嫌います。犬であれば飼い主さんに激しく触られることを好む場合もありますが、猫の場合は犬とはまったく異なります。
正しい猫の触り方として、猫の毛並みに沿って優しくなでることから徐々にスキンシップをはかっていくのが良いでしょう。優しく撫でることで猫がリラックスしたら、猫が触られると喜ぶ場所をなでたり、カキカキしてあげるのが猫の喜ぶ触り方です。
母猫が子猫を舐めるように触る
猫を触るときのスピードは「母猫が子猫を舐めるリズム」が一番良いとされています。このリズムで触られると、母親の愛に包まれていた子猫の頃の記憶が蘇るからだと考えられています。
猫に触ること(マッサージ)の意味や効果は?
猫と飼い主さんの関係性の向上
飼い猫を触ることには、人間と猫の仲間意識を強めるという意味があります。
猫が舌を使ってお互いに舐め合う「アログルーミング」は仲の良い猫同士で行います。そしてグルーミングされている方の猫は、している方の猫が舐めやすいように首や頭の位置を微妙に調整しています。このようにして猫同士の関係性を深めていきます。
飼い主さんが手を用いて猫を撫でてあげることと、猫が舌を使ってほかの猫をグルーミングしてあげることはほとんど同じ意味です。正しく触られている猫は飼い主さんの事を仲間として認識し、その結果、猫との絆が強まるという効果が期待できます
猫のストレスの緩和効果
猫を触ることは、猫の脳内のオピオイドシステムを活性化し、猫のストレスを緩和するという効果があります。(*オピオイドシステムとは、脳内麻薬の一種である「エンドルフィン」の分泌を促進する仕組み)
人間を始めとする多くの動物は、好きな人と一緒にいたり、好きな人に触られたりするとき、このオピオイドシステムが活性化します。このような理由から、適切な方法で猫に触れば、猫のストレスを緩和する効果が期待できるのです。
猫の血流促進と身体異常の発見
猫を触ることは、猫の全身の血流を促進するという効果もあります。
猫の体の表面を軽くなでることで静脈血の流れが促され、また猫の体の深部を押すことで動脈血の流れが促されます。その結果、猫体内の酸素運搬が促進され、老廃物が効率よく体外に排出されるようになります。
また猫を触ることには、猫の病気を早期発見するという意味もあります。
猫の体の表面は、炎症による腫れや腫瘍のしこりなど、病気の症状が現れやすい部位です。猫の体を定期的にまんべんなく触ることで、猫の病気を早期に発見することにつながります。
猫を触るタイミング
いつでもどこでも猫を触っていいわけではありません。
猫には「飼い主さんに触られたくない時」と「触って欲しい時」があります。触られたくない時に無理に猫に触ると、猫との関係性が悪化してしまうので、猫を触るタイミングを見極めることが大切です。
猫から催促があった時に触るのがベスト
猫から催促があったタイミングで猫に触るのがベストです。
猫は行き当たりばったりの接触を好みません。猫の方から人間に催促した場合、猫との触れ合いの時間は長くなり、猫の求めに応じて触った回数が多いほど、飼い主さんと猫は親密な関係になることができます。
泣きやんだタイミングを見計らって触る
「ニャーニャー(触って触って!)」と要求鳴きをしているときに毎回猫の求めに応じてしまうと、猫は「泣けば願いが叶う」と学習します。その場合、猫の無駄鳴きが多くなってしまうことがあります。
もしも激しく鳴くようになってしまった場合は、猫が要求鳴きをしたタイミングではなく、泣きやんだタイミングを見計らってマッサージを開始するのが良いでしょう
猫を触わるのをやめたほうが良い時
猫を触るのをやめるタイミングは、猫が飼い主さんに触られるのを嫌がっているサインを見分けることが重要です。
デビルフェイス
「デビルフェイス」とは、耳を横に広げて悪魔の角(つの)のように尖らせ、瞳孔をまん丸に開いた顔のことです。
この顔は、人間で言うと「しかめっ面」に相当するもので、猫の表情が気持ちよさそうな表情からデビルフェイスに変った時は「もう触らないでくれ」という意味のサインになります。
猫が離れて行く、離れようとする時
猫が自発的に飼い主の元から離れようとする、または離れる時は「充分満足しましたので、もう触らないでね」という意味のサインになります
猫が噛みつこうとしてくる
上記のサインに気づかず、または気づいていても無理に猫に触り続けていると、突然手に噛みついてくることがあります。これは「もうやめて!(嫌だって言ってるじゃん!)」という意味の強い拒絶サインとなります。
この時に、触ることを止めずに無理に猫に触り続けたり、追いかけてつかまえようとすると猫との関係性が悪化してしまう(飼い主さんへの信頼感が低下してしまう)ので気を付けましょう。
*もっと触って欲しい時の猫のサインは?
なお、上記の「もう触らないで!」のサインとは逆に「もっと触って!」というサインは「のどをゴロゴロ鳴らす」「目を半開きにしてうっとり顔になる」「なでてほしい場所を手に押し付けてくる」「しっぽの先をゆっくりと振る」などです。