この記事では猫の去勢手術の必要性(メリット)と、方法や費用、去勢手術を行うのに適した時期(年齢)について解説しています。
子猫を迎え去勢手術を行うか迷っている、問題行動を治したいなどの飼い主さんは、ぜひとも最後まで読んでいただけると幸いです。
Contents
猫の避妊と去勢の違いとは?
猫の避妊手術
猫の避妊とはメス猫の卵巣と子宮を手術で摘出することです
猫の去勢手術とは?
猫の去勢とはオス猫の精巣を手術で摘出することです
猫の避妊手術のメリット
メリット1:メス猫特有の病気の予防
避妊手術を行うと、メス猫がかかる可能性の高い病気(乳腺腫瘍(乳がん)や子宮内膜炎、子宮蓄膿症、卵胞嚢腫(らんぽうのうしゅ:卵巣に液状のものが溜まり腫れてしまう疾患)など)の発生率を大きく下げることができます。
メス猫特有の病気の中には、命に関わるような重たい病気も多く、危険度の高い病気を予防できることから獣医師が避妊手術を勧めるのです。
メリット2:発情期のメス猫の鳴き声の予防
避妊手術を行うことで、雌猫の発情期が来なくなるため、発情期の性的なストレスが大きく軽減されます。また、発情期に伴っておきる問題行動(独特の大きな声で鳴くなど)を抑制することもできます
メリット3:妊娠の予防
完全室内飼育で1匹飼いの場合を除き、避妊手術をしないまま外に自由に出かけるなどしてしまうと、外で野良猫と交尾をして妊娠し、沢山の子猫を出産する可能性があります。
生まれてきた子猫は、引き取り手や飼い主が見つからない場合は保健所へ連れて行かれてしまいます。避妊手術をすることは、猫の殺処分を減らすことにも繋がるのです
猫の避妊手術のデメリット
猫の避妊手術にはデメリットもありますので事前に知っておくことが大切です
デメリット1:避妊手術時の麻酔のリスク
避妊手術は猫に全身麻酔をかけて手術をしなければならないため、麻酔のリスクがあります。
麻酔によって命にかかわるような事態になることは確率的には非常に低いですが、やはり0では無いので、動物病院では避妊手術を行う前に必ず飼い主さんに麻酔の許可を取ります
デメリット2:避妊手術後に太りやすくなる
避妊手術を行うことで発情が来なくなります。本来、発情期はエネルギーの消費量が増大しますが、それが来ないということはエネルギーの消費量が低下します。
また本来、メスの生殖機能を維持することは相当なエネルギーを消費します。発情期によるエネルギー消費と通常の生殖機能維持のためのエネルギー消費が必要なくなることで、避妊手術を行っていないメス猫と比較した場合に太りやすくなるということです
猫の避妊手術の適切な時期
猫の避妊手術の場合、発情期を迎える前に手術を受けさせることが望ましく、一般的には生後6ヶ月齢前後が最も適切な時期だとされています
ただ、最新の研究ではできる限り早く避妊手術を行った方が子猫への負担も少なく、また病気の予防にもつながるという研究成果が出ています。そのため、3ヶ月齢くらいで避妊手術を勧めている動物病院もあります。
子猫が麻酔に十分に耐えられるようになるのが3ヶ月目以降ですので、生後3ヶ月目以降であれば避妊手術を行って良いと思います。
猫の避妊手術の費用(値段・料金)
猫の避妊手術の費用(値段・料金)は2〜3万円が相場
病院によって値段は変わりますが、2〜3万円くらいのところが多いです。また都内の大きな設備の整った病院であれば4万円以上の場合も中にはあります。
ちなみに猫の去勢手術の値段は1〜2万円前後です。メスとオスで値段が違うのは避妊手術の場合は開腹手術(お腹を開く手術)を行うからです。そのため、手術時間も術後の管理も雄猫の去勢手術よりも大変なのです。
オスは開腹せず手術も簡単に出来ます。また術後の回復も早いために避妊手術よりも値段が安くて済むのです
猫の避妊手術に助成金が出る場合もある
現在、獣医師会や地方自治体の協力により、主に飼い主のいない野良猫を引き取る場合において猫の避妊手術の費用の助成金が出る場合もあります。自治体によって値段も異なりますが、多いところで3万円近く出る場所もあります。
猫の避妊手術の流れ(方法)
まずは動物病院へ行く
避妊手術を受けさせようと思ったら、まずは信頼のできる動物病院を探して、一度連れて行きます。避妊手術の値段が気になる場合は、事前に電話で確認しておきましょう。
避妊手術の具体的な日時の決定と血液検査
獣医師との相談により避妊手術の日程を決めます。基本的に飼い主さんの都合の良い日程で行うように動物病院は調節しますが既に予約でいっぱいの場合は希望の日程より先になる場合もあります。
また手術に備えて事前に血液検査を行い、猫の血液の異常は無いか?病気が無いか?手術に耐えられるか?ということを確認します。
手術当日は必ず絶水絶食
いよいよ手術当日です。手術前日の夜から絶食を行い(水はOK)、当日は朝から絶水絶食を行います。これは手術中に吐き戻すなどの事故を防ぐために非常に重要なことになります。
手術当日の午前中に来院し猫を預ける
基本的に動物病院には午前中に来院して猫を預けます。動物病院では昼〜夕方の診察時間外に避妊手術を行う場合が多いので、この時間に預かった猫に麻酔をかけて獣医師が手術を行います。
避妊手術の翌日に迎えに行く
手術後、猫が麻酔から覚めるのを獣医師が付き添って確認します。避妊手術は開腹(お腹を開く)しますので、手術当日は入院し獣医師が見守る必要性があります。
手術翌日に、猫に異常がなく、獣医師が飼い主さんに返しても大丈夫と判断したら飼い主さんにお返しします。
猫の避妊手術は抜糸が必要
避妊手術が終わり、動物病院から猫をお家に連れて帰ったら終わりではありません。自宅では猫に薬(抗生剤)を飲ませる必要があります。また手術数日後に来院し、傷口の消毒を行います。
だいたい避妊手術から10日前後経ち、傷口が完全に塞がったら全ての糸を抜きます(抜糸)。糸を抜き終えて傷口に問題がなければこれで避妊手術は全て終了です。
猫の避妊手術時や術後の痛みは?
飼い主さんによく聞かれるのが「避妊手術は痛く無いのか?」「避妊手術後に痛みは残るのか?」ということです。
猫の避妊手術時や術後の痛み
痛みに関してはしっかりと麻酔をかけて手術を行うために術中に痛みを感じることはありません。手術が終わり麻酔から目が醒めると若干の痛みを感じると思いますが、術後に激しい痛みが猫を襲うということは通常ありません。
まとめ
猫の避妊手術に関してはこれで以上になります。
愛猫の避妊手術を行う際に感じる”かわいそう”という気持ちは私自身もよく分かります。私も愛する猫のお腹を開くというのを想像するとやはり「かわいそう」だと思ってしまいます。
ですが、やはり避妊手術のメリットと必要性を考えると手術をした方が良いというのは否めません。高齢になってからの生殖器関連の病気を実際に見ていると避妊手術で予防できる病気は予防するのが一番だと言い切れるからです。