【獣医師監修】余命はどれくらい?猫のガンの症状や原因、治療法や治療費も



この記事では猫のガン(悪性腫瘍)についての基礎知識や、ガンができる原因と治療法について解説しています。

人間の場合と同じように猫のガンも簡単には説明できない複雑な病気ですが、この記事を読めば基礎的なことは全てわかりますので最後まで目を通していただけると幸いです。

猫のガンとは?

猫の「ガン」とは一般的に「悪性腫瘍」のことを言います。

腫瘍には良性と悪性の二種類があり、無秩序に細胞が異常増殖し転移するような腫瘍である場合に悪性腫瘍(ガン)と言います。

*鼻腔腺ガンにより鼻の先端部が崩壊してしまった猫

猫では犬や人間と比べるとガンの発生率は低いと言われています。しかし、一度ガンが発生すると重症化しやすいのも猫のガンの特徴です。

猫のガンの症状

猫がガンになった場合にこれという「特定の症状」はありません。

ガンが進行し臓器が破壊されるにつれて、破壊される臓器に応じた症状が出てきます。例えばガンが肺に転移した場合は呼吸困難などです。

そのため、ガンが見つかる際も症状からではなく「健康診断でレントゲン検査をしたら体内に腫瘍が見つかった」「お腹を触っていたらしこりが見つかり検査したらガンだった」などの場合が多いです。

猫がガンになる原因

猫にガン(悪性腫瘍)が発生する原因ははっきりとは解明されていません。しかし、いくつかガンの発症率を高める要因が考えられるため、ここではそれらを説明していきます。

①ウイルス

猫白血病ウイルス(FeLV)、猫エイズウイルス(FIV)、そして猫白血病ウイルスの変異種である猫肉腫ウイルス(FeSV)はガンの発症率を高めます。

*光学顕微鏡で見たFeLVウイルス

特にFeLVに感染している場合「リンパ肉腫」というガンになりやすくなります。その確率は感染していない猫の62倍です。

また猫エイズに感染した場合はウイルスが直接ガンを発生させるのではなく、免疫力が抑制されることによって間接的にガン細胞の増殖を許してしまいます。

他にもFeSVは「線維肉腫」というガンを形成することが知られています。

②遺伝的要因、老化

人間の場合と同じように猫の場合も遺伝的にガンになりやすい猫もいます。家系的に先祖でガンが発生している場合はガンになりやすいというものです。

加えて猫も老化によりガンの発生率は高くなり、12歳の猫では約8〜10%の猫でガンが発生すると言われています。

ただし高齢になってから発生したガンは「細胞分裂の速度が遅い」ため進行が緩やかな場合もあります。

③ホルモン

雌猫の乳腺ガンや、雄猫の前立腺ガンなど体内で分泌されるホルモンが猫のガンの発生にかかわっている場合もあります。

これらの性ホルモンが起因するガンの発生率を下げる(予防する)ために、猫の避妊去勢は効果があると考えられています。

④その他

太陽の紫外線や飼い主が吸うタバコの受動喫煙、一部の化学物質などもガンの発生率を高めます。

また猫では、発生する確率は0.01%程度と言われていますが「ワクチン接種部位肉腫」というワクチン接種が原因となって発生するガンも稀にあります。

猫のガンの検査法

全身状態を把握するための血液検査や、ガン(腫瘍)の大きさや場所を計るためのレントゲン検査やエコー検査など、ガンの検査方法には複数の種類があります。

*胸腔内に腫瘍が見つかった猫のレントゲン写真

また腫瘍が見つかった場合は、その腫瘍が良性か悪性かを検査するために腫瘍の一部を取って顕微鏡で検査する細胞学的検査もあります。

通常獣医師はこれらの検査方法を腫瘍の状況に合わせて組み合わせて行い、ガンの検査を行います。

猫のガンの治療法

ガンの治療法には外科療法放射線療法化学療法免疫療法代替療法温熱療法などさまざまな治療法があります。

①外科療法

外科療法はガン(腫瘍)を手術によって取り除く治療法です。

特にガンが転移しておらず、腫瘍を全て取り切ることができた場合は治療の最大効果が期待できるでしょう。

しかしながら、ガンが大きくなりすぎて切除できない場合や全身に転移している場合は手術で取り切れないため外科療法は不適になります。

②放射線療法

放射線療法は腫瘍部に放射線を当てることでガン細胞を破壊します。この療法は生体を傷つけることなく腫瘍を縮小させる効果があります。

*このような放射線発生装置を用いて治療は行われる

しかし腫瘍の種類によっては効果が期待できない場合や再度腫瘍が増大する可能性もあります。

そして放射線治療は基本的には全身麻酔を必要とするので、猫の全身状態が悪い場合は放射線治療ができない場合もあります。

③化学療法(抗がん剤)

抗がん剤の投与によってガン細胞を破壊します。

また抗がん剤には複数の種類があり、それぞれのガンに適した抗がん剤を選択します。

血液細胞のガンには抗がん剤が第一選択になりますが、抗がん剤の有効性の低いタイプのガンも多く、副作用を考慮した場合の効果が望めない場合は必ずしもガンの治療に使用しない場合もあります。

④免疫療法

免疫療法は近年、ガンに対する第4の治療と呼ばれている分野です。

温熱療法はがんに数本の電極の針を刺して加温しガン細胞を死滅させる方法で、凍結療法は液体窒素により凍結させてがん細胞を死滅させる方法です。しかし全てのガンがこれらの療法を行えるわけではありません。

光線力学療法は光感受性物質と可視光線、酸素分子の化学反応により選択的にがん組織を死滅させます。

*あくまでもガンの治療は外科療法放射線療法化学療法がメインとなりますので、免疫療法は補助治療でありメインの治療の補助をするもの程度と考えた方がいいでしょう。

猫のガンの治療費

猫のガンの治療費は選択する治療法によって大きく変わります。

特に外科手術と放射線治療は数十万円単位の高額の治療費がかかります。

例えば外科手術を行い、その後大学病院などの高度医療を受けられる施設で放射線治療も行うのであれば100万円を超えるかもしれません。

また抗がん剤などの化学療法だけであればそれほど高額な料金はかからないのが一般的です。

このように治療法によって治療費に大きな違いがあるため、事前に獣医師によく確認する必要があります。

猫のガンの余命について

猫がガンになった場合の余命に関しては「ガンの進行度(発見の速さ)」と「治療の効果がどれだけあるか」に大きく左右されます。

ガンの発見が早く、外科手術で綺麗に取り除けた場合は転移の可能性も低く生涯寿命を全うできる猫もいます。

また逆に発見が遅れ既に全身に転移していた場合や、治療の効果が出なかった場合などは余命は短くなってしまいます。

まとめ

猫のガンについての基礎知識はこれで以上になります。

実際の医療現場では獣医師が状況に合わせて、臨機応変に対応し治療を行うため上記の通りにならない可能性もあります。

また飼い主さんの中には愛猫がガンになってしまった事実を受け入れられず「必ずガンが治る」といった謳い文句の怪しい薬や宗教じみた話に騙されてしまう人も中にはいます。

治療方法の正しい選択は余命を大きく左右します。

愛猫がガンになってしまった場合はまずは一旦落ち着き、しっかりと獣医師と話し合って適切な治療方法を選択することを忘れないでください。

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書いた人

著者:サワキ ショウタロウ



動物病院勤務の獣医師(8年目)。神奈川県横浜市出身。飼い主さんがネットに氾濫する誤った情報に騙されない為にサイトを設立。獣医師による正しい知識を提供してます。多忙な毎日ですが、暇を見つけてTwitterやサイトを更新。フォロー・ブックマークしていただけると嬉しいです。

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